田中秀治研究室 ~Student Page~

第12回マイクロシステム融合研究会

学部四年生の佐藤です。

6月6日に開かれた第12回マイクロシステム融合研究会に参加してきましたので、情報をシェアしたいと思います。

 この研究会は、大学や企業の方が集まって、各々の研究している技術の現状や新しいプロジェクトの展望、MEMSを含む今後の産業の在り方などについて発表・議論するというもので、さらにこの研究会の最後には「失敗学」で有名な畑村洋太郎先生による、福島原発事故を取り上げた講演も行われました。実は私は畑村先生が書かれた「直観でわかる数学」シリーズを中学生の頃に読んだことがあり、それが数学と工学への興味を持ったきっかけとなっています。そのため、今回の研究会は直接お話を聴けるいい機会だということで参加させて頂きました。因みに、田中先生は学生のとき、畑村先生の研究室に所属されていました。

 会場は西澤センターの仙台MEMSショールームでした。まずは、江刺先生の挨拶と発表から始まりました。内容は「無数のセンサで創る安全・安心・快適な社会」について。近年発達しているクラウドコンピューティング(ネットワーク経由でコンピュータによる処理やデータの格納を行うコンピュータ資源の利用形態)とセンサーを組み合わせることで、商業・環境・防災・健康・インフラといった様々な情報をビッグデータとして収集し、分析・活用していくというシステムと、それを実現するようなセンサー研究について述べられていました。その中には、使い捨てのヘルスケアチップとして設計されているワイヤレスイムノセンサや介護ロボットに取り付ける触覚センサネットワークなど、田中(秀)研究室で行っている研究も取り上げられていました。




 大学や企業から来られた他の発表者の方も、様々なセンサー活用の展望について発表されていました。例えば、センサーをコンタクトレンズや絆創膏の形をしたものに内蔵することで、外見上の違和感を減らしつつ生体情報を記録する研究や、農業にセンサーやビッグデータを取り入れることで効率の良い栽培や流通を実現するシステムの提案、情報処理をスマートフォンやタブレット端末に任せることで、コストパフォーマンスを向上させると同時にクラウドへの親和性を高めたセンサーの設計などがありました。他にも、現在のMEMS産業を取り巻く環境に関する考察やビッグデータの活用について、さらに、サイエンスデイの取り組みについてもお話を聞くことができました。

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 特に面白いと感じたのは、ヤグチ電子工業株式会社の石垣さんが発表された、福島原発事故以降需要が高まった一般向け線量計開発についてです。このプロジェクトは、線量計とソーシャルメディアの連携を密にし、様々な技術を持つ人々と強力しながら運用していく、参加型システム開発という形をとっていました。また、迅速に資金を集めるためにクラウドファンディング(ネット上でプレゼンし、プロジェクトへの出資者を募るシステム)を利用したり、PINフォトダイオード+スマートフォンによる演算処理+ユーザによるDIYを組み合わせることで安価で正確な線量計の実現させているなど、近年発達したネットワークの仕組みを上手く取り入れた斬新なものづくりの形態だと感じました。

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 最後に、畑村先生による福島原発事故を取り上げた講演についての感想をまとめたいと思います。まず畑村先生がおっしゃったのは、「福島原発で何がおきたのか正しく知っている人が思った以上に多くない」ということでした。現状では、自分の目で見たり頭で考えないでマスコミの報道や個人の先入観に甘んじ、真の原因を理解するという思考を止めてしまった人や、間違った認識を持ったまま議論や行動をしている人は少なくありません。かくいう私も決して原発事故の原因をよく理解しているわけではありませんでしたし、ネットで行われている議論などでは放射線リテラシーが低下している事例もちらほら見かけます。このような自分から情報を見ようとしない態度は、原子力問題に限らず大きな課題解決への議論を遅らせかねないものであり、他人事とせず一人ひとりが改めるべきではないかと自問しました。
 また、原発事故が発生する以前に海外の原子力技術者が日本の原子力の体制を見て、「技術者が発言しない。こういう文化の国は原子力を扱う資格が無い。」と大きな事故が起こるであろうことを予見していたという話には驚きました。危険な技術を扱うために必要なのは科学者・技術者の知識と意見であり、それらを発信しなかった我が国は、その自覚が足りなかったという海外からの指摘を否定できません。自分から情報を入手することに加え、そこから行動に移すというプロセスも非常に重要なのだと感じました。

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 原発事故では、東日本大震災クラスの地震は想定外だったという発言をよく耳にしました。この想定が十分でなかったことも畑村先生は指摘し、想定とはどのように行うべきかということも述べられていました。人間の心理には見たくないものは見えないという特性があり、その結果システムにとって致命的な事態を想定しないことがままあるといいます。そのため、システムの最悪の事態を考えて想定するのは勿論、想定外の事態が起きてもその後のことを考えた減災のための対応を準備しておくことが大事だそうです。
 防災に関しては今まで幅広く指摘されており、どんな組織でも防災訓練などの対策が広く行われていますが、この減災という考え方を取り上げられることは必ずしも多くはないように思います。減災は防災よりも更に起きる可能性が低い事態に対する対策であるため、無視したくなる心理もわかります。しかし、その結果の典型例が今回の原発事故であり、これから減災を意識する空気がより広がればと思います。

 この講演で畑村先生が何度も述べられていたのは「自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分で決めて、自分で行動する」ということでした。福島原発事故の問題がここまで大きくなった背景には、このことを実践できるような主体的に活動できる個人、全体像を捉えることができる個人を作る文化が根付いていないということがあり、そうした考え方は一人ひとりが身につけていくべきだとおっしゃられていました。そこで私はその「独立した個人」を育成する方法としてどのようなものがあるのか質問したのですが、その答えとして「KY活動」というものがあるということを教えて頂きました。
 「KY活動」の「KY」とは「危険予知」の略で、安全衛生の確保について正しい知識と的確な行動を身に着けるための活動を指しています。安全衛生が脅かされる時、その多くは不安全な状態に人間の不安全な行動(ヒューマンエラー)が重なることで起きるといいます。そのヒューマンエラーの分析が、「KY活動」の基本となっています。具体的なやり方を挙げると

1R.危険が潜んでいると思われる現場やそのイラストなどを使って、どこにどんな危険が潜んでいるかメンバーで話し合う(現状把握)
2R.上がった意見から特に重要な項目を絞り込む(本質追求)
3R.メンバーで危険への対策意見を出し合う(対策樹立)
4R.対策を絞り込み、行動目標として設定して、指さし呼称項目などを決める(目標設定)

というものです。このやり取りではどんな内容であっても意見の主張は自由に行うようにして、議論しやすい雰囲気を作ることが大事です。そして、議論に上がっている現場について知識や経験が豊富なメンバーがいれば、その知識を共有しメンバーの見識を広げることもできるでしょう。こうしたサイクルを経ることで、メンバーは危険への感受性(安全を確認してから行動する習慣)を身に着けることができます。また安全衛生に関することだけでなく、次に何が起きるのかを予測する能力、全体を俯瞰できる視野を養うことにもKY活動は繋がります。大学でも運用を間違えると危険な機械や薬品は大量に取り扱っていますから、研究室の安全講習会でKY活動を復活させるのがよいかもしれません。
 また、トライ&エラーの姿勢を取り入れることも、「独立した個人」を育成する方法になるのではないかと私は考えています。人間は何かを行動に移そうとする際は、出来るだけ手際良く少ない労力で済むようにするために、まずある程度頭の中で考えて効率のいい行動を探そうとします。ですが、その論拠となる知識や経験は、行動すること無しに得られるものではありません。にもかかわらず、頭の中で聞いただけの知識を並べるだけで、結局行動に移せないなんてことは誰にもよくある話です。効率のいい行動を探してから行動するのではなく、行動してからより効率のいい行動を探していくというのがトライ&エラーの姿勢ですが、これを更に何度も繰り返すことで、最終的に行動することなしにすべき行動が分かるようになったのが、「独立した個人」なのだと思います。因みに、このブログのプロフィール画像の言葉も、そうしたトライ&エラーの姿勢を勧めるものですね。

 以上で研究会の感想を終わりたいと思います。私は行けなかったのですが、研究会後に懇親会があったのでその写真(石川先生に頂いたもの)も載せておきます。

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 この研究会では12名の方が発表されたのですが、数名が似た考え方を持っていたり、奇しくも畑村先生の内容が先の11名の発表を要約するような内容になっていたのが印象的でした。最初は参加者の中で学生はおそらく私一人であったため、内容を理解できるのか不安でしたが、それ以上に貴重なお話を聞けたので参加してよかったと思っています。主催の江刺先生をはじめとしたマイクロシステム融合研究開発センター(µSIC)の方々、発表された大学・企業の方々、講演をして下さった畑村先生にはこの場で感謝申し上げます。

長文読んでいただきありがとうございました。

参考文献
中央労働災害防止協会HP http://www.jisha.or.jp/zerosai/index.html

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Welcome Party on 2014/5/12

修士課程1年の木村優斗です。
5/12 に研究室の新メンバー歓迎会が行われました!
今年はたくさんのニューフェイスが研究室にやって来まして、かく言う私もその一人であります。

I'm Yuto KIMURA, 1st grade student of Master Course.
We had a Welcome Party on 5/12!
This year, many New Members come to Tanaka's Lab,
and I'm also one of them.


乾杯の音頭は田中先生。
Pro.Tanaka proposed a toast, and Party was opened.

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新メンバーによる自己紹介。
By newcomers, self introductions were made.

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みなさん、あっと驚くような趣味や特技をお持ちのようなので、
たくさんのメンバーと、いろいろなアクティビティが出来たらいいなぁ、と思います。
Everyone has amazing hobbies and specialities,
so I would like to do various activities with many members.


田中(秀)研究室には様々な国からメンバーが集まっており、異文化交流が盛んです。
私のふるさとである青森県はよく海外と間違われますが、地図からも分かるように日本です。
公用語もきちんと日本語です。多くの人は津軽弁とのバイリンガルですが(笑)

Members in Tanaka's Lab come from many contries, so intercultural interaction is very popular.
My birthplace, Aomori is sometimes mistaken for foreign contry,
but actually, it's a part of Japan as you find in a map,
and an official language is Japanese, certainly.
But, many of them are bilingual of ordinary Japanese and Tsugaru dialect :)

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おかげさまで、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました!
そして、私たちを歓迎していただいた研究室の皆様に感謝申し上げます。

Thanks to all participants, we had a good time!
And, thank all Lab members for welcoming us.


本記事には、石川さんが撮影してくださった写真を使わせていただきました。
ありがとうございます。

I used pictures Ishikawa-san took in this article,
so thank you very much, Ishikawa-san.

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Clearance of old laboratories

Old laboratories including "Jikkento A" were cleared away from April to May 2014. In their sites, parkings and a campus square will be made. Please enjoy the series of photographs below.

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14 April 2014

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16 April 2014

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17 April 2014

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21 April 2014, Noon

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21 April 2014, Early evening

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22 April 2014

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23 April 2014

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28 April 2014

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30 April 2014

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2 May 2014

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7 May 2014

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27 May 2014

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